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2016年7月31日 (日)

福島へ Vol. 1: 松永窯の大堀相馬焼 

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 我が家の「墨獅子」です。以前ブログ記事に掲載したので見覚えがある方もいらっしゃるかもしれません。この「墨獅子」が植わっていた鉢は、釜爺様を通じて私の元に嫁いで来た「大堀相馬焼」の鉢なのです。しかも釜爺様が窯元(松永窯窯主)にイワヒバ仕様で特注したというオリジナルcoldsweats02
 大堀相馬焼には、走り駒の絵、貫入(表面の青ヒビ模様)等の特徴があります。またこの鉢の窯元は、震災と原発事故によって歴史ある窯を放棄せざるを得ず、存亡の危機に直面した経緯があります。去年の今頃に記事を書きましたのでご参考までに(コチラ)。
 釜爺様の元を訪ねる時はきっとこの松永窯を訪れてみたいと思っていました。
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 そして、ついにやってきました「松永窯」。この日は窯主であるご主人の粋な計らいがあり、釜爺様の連絡を受けて、この日に合わせて窯を開けて下さっていました!!(ちなみに、この取りはからいは釜爺様も知らないことでした)。

 窯を開ける、とはどういうことか言いますと、出来上がった器に貫入(ひび)が入る音を聞くことが出来る、という特別な日なのです。

キン、、ピキン、、、キンキン。

 オルゴールかハープのような高い澄んだ音が不規則に鳴っています。物言わぬはずの器が、かすかに、でもしっかりと声を出して唄っているかのようでした。

 お店の扉をくぐっただけでも感慨深かったのですが、ご主人が窯を開ける日を調整して下さったこと、そして工房に招いて下さり、この美しい音を聞いた時に、実はウルッと来ました。

無くなってしまう光景、無くなってしまう音だったかもしれません。

 想像でしかありませんが、あの2011年3月11日以来、新たに工房を構えてここに至るまでにいったいどれだけの苦労があったのかと、急に頭の中がぐるぐるしてきました。しかも、目の前のご主人が素朴に笑っている姿が涙腺を緩くする要素たっぷりで困りました。「浪江の土が使えなくなった。」、この一言はずっしり来ました。土が変わるとやはり出来上がりにも差異が出るんだそうです。

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 手前、釜爺様。奧にいらっしゃる紺のシャツを着ている方が松永窯のご主人で、右はうちの奥さんです。我が家には大堀相馬焼の小皿や湯飲みがあるので、妻も感慨深げに窯の風景の写真を撮っていました。
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 目がきく釜爺様は棚の上に、三つ足の鉢が並んでいるのを発見!。万年青等の愛好家からも注文が入ることがあるそうです(これもやはり特注品だと思います)。
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これは冒頭の「墨獅子」が入っていた鉢に”なるはずだったもの”です。

 三つ足の鉢を作製する際の試作品といえば良いでしょうか。原型となる素焼き鉢に足を付けて焼く際に、あるコツが必要だったのですが、それが分かるまでにしくじってしまったものだそうです。

 売り物にならないから廃棄予定だ、と聞き、私が思わず出た言葉は「えっ、勿体ない!」。足が1本だったり2本だったりしたものがあったので、とりあえず全部取り除いてもらったところ、普通に平鉢として使えることが分かりました(赤矢印は足が付いていた箇所)。
 伝統工芸品の元になる素焼き鉢です。イワヒバを植えるのに適した形状と大きさですからなおさらプレミアム品です。欲しいと言ったところ、もらうことが出来てしまいましたcoldsweats02。とても嬉しいです!

 家に帰ってから泥やクモの巣を洗い直したものが上の写真です。どうです!綺麗な正円としっかりした厚みがあります。思わぬお土産が出来てしまいました。

 インターネットで「大堀相馬焼 松永窯」を検索して頂ければ、相馬焼きや松永窯についてより詳細情報を見ることが出来ます。また、大堀相馬焼の貫入音は”うつくしまの音 30景”の一つに選ばれているそうです。
 ちなみにこの音を聴きながら、音楽を生業にしている妻に音階を言い当ててもらったところ「ミ、レ、ソ、うーんそしてファ#かな、ドもあるよ。」などと解説が始まりました。私からすると音楽関係者のこの「絶対音感」というものは宇宙人的能力だと思っているのですが、松永窯のご主人は大層気に入って下さったらしく、カレンダーに「ミ、レ、ソ」と書き留めて下さっていました。

 いつかどこかで相馬焼の貫入音の音階がニュースになり、ミ、レ、ソが出て来たら面白いですhappy02

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