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2017年3月21日 (火)

宮島で見つけた鉢

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 厳島神社目当てで宮島を歩いている時に、何軒か民芸品屋さんに遭遇しました。歩きながらショーケースを眺めていると楽しいです。湯飲み、急須、しゃもじ、箸、木製のお盆、木彫りの置物等が並んでいました。こういうのを一つ一つ手で作っているんだろうなぁと思うとわくわくしますね。職人芸って結構好きです。

 こちらのお店は、お世辞にも商売繁盛で大盛況という様子ではございません。店先のガラス棚の中には木工品が並べられておりますが、商売っ気を感じないといいましょうかcoldsweats01。新聞紙は日に焼けてセピア色、幾つかは埃をかぶっておりました。ただ、戸は開け放たれて開放的です。店内には70前後のおばあちゃん二人が賑やかに茶飲み話をしているのが見えました。

 私がショーケースを眺めていたら、「中入りぃ、店の中も見たらええよー。」と声がかかりました。一人は女主人のおばあちゃん、もう一人は近所の茶飲み友達のご様子。

入った途端、

お店のおばあちゃん:「うわっ!兄さんでかいなっ、2mあるじゃろ!」

私「ないないない!」

お店のおばあちゃん:「そこ鴨居が低いから頭ぶつけるで!兄さんから見たら、わしゃーあんたの腰ぐらいしかねーよなぁ、かかかかか。」


近所のおばあちゃん:「いやでもこの前来とった外人さん、ほんま2m越えとる思うわ。神棚に頭ぶつけとったよな。」


お店のおばあちゃん:「あー、あん外人さんは背ぇ高かったわー。一緒に写真撮ったんよ、待っとき、今見せるけぇ。」

ここでアルバムを撮りに行くおばあちゃん。

 何故か、いきなり巻き込まれている、あかぴょんcoldsweats02。見知らぬ外人さんの写真を前にして、世間話が始まってしまいましたcoldsweats01

・・・・さて、話が一段落したところで、私の本題をおばあちゃんに問いかけました。
「あのショーケースの中の鉢が見たいんですけど?」

 埃まみれなのですが、綺麗な色とデザインに目が吸い付けられました。
 富貴蘭用でしょうね。瑠璃色で手の込んだ縁と3本足、そして細かな透かし文様。大きさは5.5号!。富貴蘭用の化粧鉢は3.5号や4号が流通品として多いように感じます。富貴蘭の世界ははっきり言うとよく知りませんが、5号を越える化粧鉢はあまり見ないような???
それにしては値札の金額がずいぶんと安いのです。

で、この鉢の来歴とおばあちゃんの世間話を総合しますと

・おばあちゃんからすれば、鉢の善し悪しはよー分からん。
・この鉢は、おばあちゃんの妹の旦那さん(義弟)が作った。
・その義弟さんが亡くなって10年近く経っている。妹さんは、残った鉢をどうして良いか分からず、姉さん(お店のおばあちゃん)の店で並べてくれたらいい、売値は半額にしてもいいから売れればめっけもんじゃろう、とのこと。

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 古い地方新聞の切り抜きを持ってきたおばあちゃん。工芸師の義弟さんが載っていました。確か内容は、富貴蘭好きで、趣味が高じてついには自身で化粧鉢を作るようになった、というものでした。国産、手作り、一品物です。

「あん人がH18年にのーなって(亡くなって)、妹が売れたら良かろと持ってきたんじゃぁ。手先の細かい人じゃったなぁ。じゃけ、鉢はここにあるのが全部じゃ。うちの(旦那)は作らん。うちの(旦那)も、去年のーなった(亡くなった)けぇ、ここに木工品並べとる、カカカ。」

 言い換えると、旦那さんと義弟さんの遺作(形見?)を並べて、それらに囲まれて暮らしているのですね。話すときはいつもニコニコと明るく話してくれるおばあちゃんでした。

 私のことは、冷やかしで眺めていた若もんだと思っていたのでしょう。この鉢を買いたいと言ったら、驚いた顔をしていました。

「ありがとな、ありがとな。」と一生懸命、鉢の埃を拭いて包んでくれました。

店を出るとき「大事にしてな。」と真面目な顔で手を合わせて、私を拝むのです。

そして顔をあげると「カカカカ。」とまた明るく笑うおばあちゃんなのでした。

大事にしまっす!(穴が小さいから、これなら小粒の土も漏れないよ)
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